遺伝子操作を基盤にした薬食生産のための植物の活用 --- より安全な植物遺伝子導入技術の開発

 世界的な食糧危機の回避,機能性食品の生産,さらに創薬の観点から,遺伝子操作による植物の活用の意義は大きい.しかしながら,既に市場に供給されている遺伝子組換え農作物のほとんどは,遺伝子操作の過程における選択マーカーとして,抗生物質耐性遺伝子あるいは細菌由来の除草剤耐性遺伝子が用いられている.これらの真の安全性とは別に,これらの市場容認度は高いとはいい難い.また,我が国においては,2004年2月より施行された新規法令において,限られた植物種についてそれらの遺伝子組換え体の野外試験栽培も具体化されている.野外栽培においては,花粉の飛散による組換え遺伝子の他植物体への転移の懸念が残る.ほとんどの植物の葉緑体ゲノムは母性遺伝であり,花粉を介して後代に受け継がれない.これらの背景を考慮して,下記1と2の条件を満たす植物遺伝子操作技術を開発し,既に新規選択マーカーの有用性を見いだしている.また,下記3に成功した.今後,これらの技術を統合し,安全な技術を基盤にした食薬生産のための植物の活用を推進する.
  1. 抗生物質耐性遺伝子あるいは細菌由来の遺伝子に代わる高等植物由来の選択マーカー遺伝子の開発

  2. 導入遺伝子が花粉を介して飛散しない葉緑体遺伝子導入(葉緑体形質転換)技術の多植物種への適用

  3. 食べて免疫を与える野菜:植物抗体の作製に成功!

研究内容紹介記事