チャの発現遺伝子解析を基盤とした代謝制御

 「和食;日本人の伝統的な食文化」は,2013年12月4日にユネスコ無形文化遺産に登録された.この和食と共に供される「茶」は,機能性飲料として注目を集めている.静岡県は茶の生産額日本一を誇り,茶の活用は地域産業の活性化および人々の健康保持に寄与する.チャのゲノムサイズは,モデル植物シロイヌナズナの約 30 倍,またイネの約 10 倍 であり,さらに有用品種は栄養生殖 (挿し木等) で増やすため,純系ではなくヘテロ接合体である.これらはゲノム解析を困難にする要因となり,未だにゲノム情報が乏しい,まずは,発現している遺伝子の解析 (expressed-sequence tag, EST) から開始し,代謝酵素を同定していく.発光ダイオード (LED) 照射露地栽培における遮光オゾン暴露などの環境要因の変化によるチャ成分の変化については,TOF-MS-MS などにより実証してきた.

 これらの研究は,独立行政法人科学技術振興機構 (JST) による地域結集型研究開発プログラム「静岡発 --- 世界を結ぶ新世代茶飲料と素材の開発」の一環として,本研究室において実施し,以下の成果を得た.


成果報告:地域結集型研究開発プログラム「静岡発 --- 世界を結ぶ新世代茶飲料と素材の開発」

  1. 小林裕和,小川剛史:遺伝子発現を観てお茶成分をコントロールする処理条件を探る.地域結集,2010年3月.

  2. 小林裕和,小川剛史:光によるお茶成分の変化と遺伝子発現.地域結集,2011年3月.

  3. 小林裕和,小川剛史:茶の萎凋工程におけるオゾン処理の効果.地域結集,2012年3月.

  4. 小林裕和,丹羽康夫:転写制御による白葉化茶葉の成分変化解析.地域結集,2013年3月.

  5. 小林裕和,丹羽康夫:白葉化茶葉成分変化のトランスクリプトーム解析.地域結集,2013年11月.


研究内容紹介記事